2008年5月1日木曜日

ベンチャービジネスにおける日中の比較

修士論文要旨
2007年1 月
ベンチャービジネスにおける日中の比較
――ソフトバンクと聯想を例に取り上げて―
指導先生 大庭 篤夫 教授
国際学研究科
国際学専攻
20441141
祁 智
目次
Ⅰ はじめに………………………………………………………………………………… 1
1.本研究の問題意識…………………………………………………………………… 1
2.本論文の構成……………………………………………………………………………2
3.二つのイノベーション……………………………………………………………………3
Ⅱ 本論……………………………………………………………………………………………5
第一章 ベンチャービジネスとは何か……………………………………………………………5
第1 節 ベンチャービジネスの概念………………………………………………………5
第2 節 ベンチャービジネスの成長段階と要因…………………………………………7
第二章 米国におけるベンチャーキャピタルの発展……………………………………………9
第1 節 米国におけるベンチャービジネスの概説………………………………………9
第2 節 ベンチャーキャピタルの発展における社会的、文化的要因……………………9
第三章 日本におけるベンチャービジネスの発展経緯………………………………………11
第1 節 日本におけるベンチャービジネスの現状……………………………………11
第2 節 日本における3 次のベンチャーブーム………………………………………12
第3 節 日本におけるベンチャーキャピタルの現状…………………………………… 13
第四章 中国におけるベンチャービジネスの発展………………………………………………19
第1 節 中国におけるベンチャービジネスの現状………………………………………19
第2 節 中国におけるベンチャーキャピタルの現状……………………………………20
第3 節 問題点……………………………………………………………………………23
第五章 ベンチャーで発足したソフトバンク……………………………………………………25
第1 節 孫正義の略歴……………………………………………………………………25
第2 節 ソフトバンクに関する分析………………………………………………………25
第3 節 ベンチャー企業であるソフトバンクの経営手法と戦略…………………………27
第六章 グローバル企業に発展してきた中国のベンチャー企業である聯想集団……………31
第1 節 聯想集団の成長経緯……………………………………………………………31
第2 節 聯想集団の所有構造……………………………………………………………32
第3 節 聯想集団の成長要因……………………………………………………………34
第七章 日中ベンチャービジネスの比較…………………………………………………………36
第1 節 日中ベンチャービジネスにおける社会背景の比較……………………………36
第2 節 日中ベンチャービジネスにおける起業者の比較………………………………37
第3 節 日中ベンチャービジネスにおける資金調達の比較……………………………37
Ⅲ 終わりに………………………………………………………………………………………39
引用文献…………………………………………………………………………………………40
参考文献…………………………………………………………………………………………43
1.問題意識
現在、世界では停滞する経済を活性化させるための起爆剤とするベンチャービジネスに高い関
心が集まっている。日本におけるバブル崩壊以後、長期低迷する経済の活性化の推進力としてベ
ンチャー企業による新産業創出に大きな期待が寄せられており、産‧学‧官(国、地方自治体)がそ
れぞれの構想のもとに多様なベンチャー支援策を打ち出している。一方、世界に無視できない存
在となった中国は、さまざま分野における驚異的速度で変化と進化している。ベンチャービジネス
でもその一つである。
「ベンチャービジネス」という言葉は、英語ではなくて、和製英語である。アメリカはもちろんイギリ
スにおいても通常の会話では、いわゆる新興企業をベンチャー・ビジネスと呼ぶことはなかった。
Startups あるいはnew venture company などと表記されている。和製英語の「ベンチャービジネ
ス」は1970 年通商産業省の佃近雄によって、初めて使われて、清成忠男、中村秀一郎、平尾光司
三氏による「ベンチャービジネス」という著作でそれを広く普及させた。
本論文は、三つの問題意識を持って、書いたものである。
経済社会におけるイノベーションの役割と影響はとても大きい。新しい製品やサービス、新しい
生産技術や方法、あるいは新しい組織や仕組など、経済成果をもたらすさまざまな革新を生み出
すことによって、イノベーションは生産性の向上を可能にし、経済の成長を支え、企業の盛衰を左
右する。また、社会、経済の発展は、様々なイノベーションによってもたらされるが、一般にイノベー
ションという場合、科学技術的なイノベーションを思い浮かべることが多い。しかし、社会や経済の
進歩は、必ずしも科学技術に基礎を置くイノベーションだけでなく、社会的な制度や組織のイノベ
ーションによってもたらされたものも多いのである。企業にとっては、両方のイノベーションでいかに
バランスをとるのかということが重要である。特にイノベーションを魂とするベンチャー企業にとって
は、それがもっと重要であろう。その考えを基づいて、イノベーションとベンチャービジネスの関係を
明らかにすることは、本論文の第1問題意識である。
日本では、これまで3度にわたりベンチャーブームが起こっているが、いずれも失敗に終わって
おり、その要因には企業そのものではなく制度、環境によるものであったと考えられる。ただ注意し
なくてはいけないことは、今日のようなベンチャービジネスと呼ばれる企業がベンチャーブーム以前
に存在しなかったわけでは決してない。たとえば、ソニー(1946)、ホンダ(1948)、ダイエー(1957)、
京セラ(1959)など、現在では大企業へと発展している。したがって、当時の制度、環境から手に入
れ、元々アメリカで誕生したベンチャービジネスはどのように日本で発展されたのか。それは本論
文の第2 の問題意識である。
一方、中国の場合は、鄧小平氏の「科学技術は生産力である」という方針を打ち出したから、99
年朱鎔基前首相の「ハイテク立国」にかけて、ハイテクを中心にベンチャービジネスが発展している。
大学・研究機関が保有するハイテク技術の企業化をねらいとして重点大学を中心にベンチャー投
資会社が数多く設立された。その背景の下に多くのベンチャー企業が誕生した。特に聯想集団公
司(レノボ)はそのハイテクベンチャー企業の体表として、大企業へ発展している。しかし、金融市
場、法律の不備、政府の介入などの問題なので、その多くは失敗した。先進国に比べると、中国の
ベンチャービジはまだ始まったばかりにすぎない。だから、中国におけるベンチャービジネスの現
状と問題点を明らかにすることは本論文の第3 の問題点になっている。
最後は、代表的な日本のベンチャー企業といわれるソフトバンクと中国のベンチャー企業である
聯想を注目し、比較したい。ひいては、中国におけるベンチャービジネスの発展について試論す
る。
以上の問題意識を持って、また経営学者方々のご意見と論点を踏まえて、本論文を書くことに
する。
2.論文の構成
本論文は七章から構成されている。
現在、日本だけではなく、世界各国で経済が停滞するとともに、環境、福祉、教育など多様な領
域でさまざまな社会的問題が顕在化し、多くの人々に閉塞感が充満している。それはベンチャー
企業に大きな関心が集まっている最大の理由である。ベンチャー企業の創造は、このような経済問
題や社会的問題を解決するための重要な鍵として期待されているのである。
第一章では、ベンチャービジネスの歴史的な流れを明らかにするために、ベンチャービジネスの
概念、またベンチャービジネスはどこで、どのように誕生するのか、ということを明らかにする。
第二章では、ベンチャービジネスというものをわかるようになるために、アメリカで誕生したベンチ
ャーキャピタルの発展史を了解する必要がある。ここでアメリカでのベンチャービジネスの発展経緯
とアメリカベンチャーキャピタルの発展における社会的、文化的要因について述べたい。
第三章では、日本におけるベンチャー企業の現状、現在まで日本で発生した3次のベンチャー
ブームと日本におけるベンチャーキャピタルの現状について述べたい。そして、日本におけるベン
チャーキャピタルの問題点を諸論者の観点を踏まえながら、論じたい。
第四章では、中国におけるベンチャービジネスの現状、中国におけるベンチャーキャピタルの現
状について述べたい。また、資料と諸論者の観点を踏まえながら、中国におけるベンチャーキャピ
タルの問題点を論じたい。
第五章では、ベンチャーで発足したソフトバンクに関しては、その起業者である孫正義の経歴、
および当時の社会背景を検討する上で、ソフトバンクを論じたい。
第六章では、グローバル企業に発展してきた中国のベンチャー企業である聯想集団を論じたい。
本章では、当時社会を背景として、聯想集団の成長経緯、所有構造および成長要因を三つわけ
に検討する上で、聯想の成功要因を試論してみたい。
第七章では、社会背景、起業者、ベンチャーの資金調達という三つの方面から日中のベンチャ
ービジネスを比較してみたい。最後に、先進国であるアメリカ、日本におけるベンチャービジネス発
展経験を参考することに基づいて、中国のベンチャービジネスの将来を試論しようと思われる。
参考文献
日本語
1.清成忠男、中村秀一郎、平尾光司 著 「ベンチャー.ビジネス 頭脳を売る小さな大企業」
日本経済新聞社、1973
2.松田修一 著 「ベンチャー企業, 第3 版」 日本経済新聞社 2005
3.凌志軍著 漆嶋 稔訳 「聯想―中国最強の企業集団の内幕」(上、下)日経BP 社
2006 年2 月13 日
4.植田浩史 [ほか] 著 「中小企業・ベンチャー企業論」 有斐閣、 2006
5.坂本英樹 著 「日本におけるベンチャー・ビジネスのマネジメント」 白桃書房、2001
6.柳在相 著 「ベンチャー企業の経営戦略」 中央経済社、 2003
7.金井一賴、角田隆太郎編 「ベンチャー企業経営論」 有斐閣、2002
8.柳孝一 著 「ベンチャー経営論 : 創造的破壊と矛盾のマネジメント」
日本経済新聞社、2004
9.田中譲 著 「総論ベンチャー.ビジネス : 事業創造の理論と実践」 金融財政事情研究会
2003
10.藤末健三、板倉宏昭, 藤原善丞 著
「イノベーション創出の経営学:ブランド・マネジメントからベンチャー・インキュベーションまで」
白桃書房、2004
11.中村明 著 「ベンチャーの創造なくして日本の再生はない」 SS コミュニケーションズ、2003
12.児玉博 著 「幻想曲:孫正義とソフトバンクの過去・今・未来」 日経BP 出版センター 2005
13.船橋洋一、孫正義 [ほか] 著 「創造的破壊系:日本発世界の経営者たち」 朝日新聞社
2000
14.滝田誠一郎 著 「孫正義インターネット財閥経営:ビル・ゲイツを超える日」 実業之日本社
1999
15.井上篤夫 著 「孫正義世界一をめざせ!」 実業之日本社 2005
中国語
1.凌志軍 著 「聯想風雲」 中信出版社 2005 年1 月
2.井上篤夫 著 李颖秋 訳 「飞得更高」 中国鉄道出版社 2006 年1 月
3.中国統計年鑑 2003

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